ワークショップ開催レポート

about

実施概要

子ども向け減塩ワークショップ

活力ある持続可能な社会の実現に向けて、我が国の栄養課題の1つに「食塩の過剰摂取」があることを子どもたちに知ってもらうとともに、自分たちに何ができるかを考えるきっかけを創ることを目的に、減塩普及啓発資料であるパンフレット「知っていますか?食塩のとりすぎ問題」を活用したワークショップを試行的に開催しました。

目的

活力ある持続可能な社会の実現に向けて、「食塩の過剰摂取」の問題があることを子どもたちに知ってもらうとともに、自分たちに何ができるかを考えるきっかけを創る。

講師

武庫川女子大学 食物栄養科学部 准教授
小林 知未(こばやし ともみ)先生 
※各テーブルには、ファシリテーターとして管理栄養士養成施設の大学生・大学院生が参加。

対象者

主な対象は小学5・6年生

参加者

小学1年生から中学2年生まで総勢76名の子どもが参加
(うち、小学5・6年生は38名)

開催日・会場

いずれも10:30~11:30、
13:30~14:30の2回開催

2023年11月4日(土)
福岡(福岡県中小企業振興センター)
2023年11月11日(土)
大阪(大阪府立男女共同参画・青少年センター)
2023年11月25日(土)
東京(日本科学未来館)

開催方式

対面

使用資料

パンフレット「知っていますか?食塩のとりすぎ問題」
こちらのページからご覧いただけます。

details

実施詳細

ワークショップの流れ

ワークショップは、1グループ当たり子ども2~5名と学生ファシリテーター1~2名のグループに分かれて行いました。ワークショップの流れに沿ったワークシートを配布し、ワークショップで学んだことや考えたことなどを書き込めるようにしました。ワークショップでは、料理に含まれる食塩量のクイズや、適切な食塩量の献立作成、食塩をとりすぎないための工夫や減塩に向けて自分自身や家族と一緒に取り組みたいことなどを発表し合いました。

①はじめに、食塩についての基礎知識として、食塩が身近なものであることを感じてもらうため、海でのピクニックのイラストを提示。イラストのどこに食塩が含まれているかを確認しました。また、食塩が果たす役割(食品に対する役割:おいしさ・保存・つなぎ、体に対する役割:消化を助ける・血液の量の維持)や、高血圧のメカニズムを分かりやすく解説。子どもたちの年齢に応じた食塩摂取量の現状値・目標量も併せて確認しました。

クイズやゲームで色々なことを知ることができて、
楽しかったな~!

②次に、料理に含まれる食塩量をグループごとに予想。実際の食塩量と予想量とのギャップに驚きの声が上がっていました。 また、栄養成分表示の見方を紹介。馴染みのある食品にどれくらいの食塩が含まれるのか、実際にチェックをする姿が見られました。

③栄養成分表示の見方を紹介し、馴染みのある食品のどこに栄養成分表示があるのかや、どれくらいの食塩が含まれるのかを、実際に確認しました。 これまであまり着目したことがなかった食塩相当量の表示を見ることは興味深かったようで、複数の食品を見比べる姿が見られました。

実際に手を動かすワークが多くて分かりやすかったよ!

④続いて、パンフレットにある料理例とその食塩量を計算し、1食当たり2~3gになるようなメニューをひとりずつ考えてもらいました。食べたいものを組み合わせたり、栄養バランスを考えてみたり、子ども一人ひとりがオリジナリティのあるメニューを考案し、発表しました。

⑤最後に、減塩に関わる企業や団体、減塩につながる行動を紹介し、ここまでの学びを踏まえて減塩のためにできること(減塩チャレンジ)を考えてもらいました。まずは一人でできることから考え、家族や学校のみんな、地域のみんななど、対象を広げた行動案を発表し合うことで更に学びが深まりました。

各自で考えたことを発表・共有し、
互いに学び合う姿が見られました。

report

実施結果

アンケート結果

実施後のアンケートでは参加した子どもの約9割が「食塩を減らす工夫をして、できるだけ気を付けようと思った」と回答するなど、減塩に対して前向きな回答が得られました。ワークシート内の減塩チャレンジ(減塩のために取り組みたいことを明記するページ)でも、積極的な取組を期待できる回答が見られるなど、「食塩の過剰摂取」の問題について知ってもらい、自主的な行動を検討するきっかけとなりました。

設問:食塩をとる量を適切にする工夫について理解できましたか?(ワークショップ参加の子ども76名が回答)

設問:今回のワークショップに参加して、食塩のとりすぎに気を付けようと思いましたか? (ワークショップ参加の子ども76名が回答)

アンケートに記入された感想やワークシート内の減塩チャレンジ(減塩のために取り組みたいことを明記するページ)には、積極的な取組を期待できる回答が見られました。子どもたちは「食塩の過剰摂取」の問題があることを学び、自ら次のアクションにつなげようという意欲を持つことができたようです。

減塩チャレンジ記入内容(一部抜粋)

  • 減塩の商品や塩分が少ない商品を買うようにする。
  • 買い物のときに食塩相当量を確認する。
  • 麺類のスープは何かもったいないからたまに飲んでたけど全部飲むのはやめようと思った。
  • しょくえんそうとうりょうを見る。1かいあじみしてからちょうみりょうをかける。
  • 家で減塩しょう油を使っているのでこれからも使っていきたい。
  • 減塩の食品がどれだけあるか、スーパーに見に行く。
  • 栄養成分表示を見て減塩のバランスを考える。
  • おかしのパッケージに「減塩」と書いてあるものをなるべくえらぶ。
  • かぞくとげんえんについてはなし合う。
  • 減塩に興味をもつ!そして 知る・学ぶ!
  • 減塩のことを発表する。みんなに興味をもってもらう。
  • 家族の人に減塩していっしょにりょうりをつくってみたり減塩のバランスをかんがえてみたりしようとおもった。

ワークショップ感想(一部抜粋)

  • 分かりやすく教えてくれて食塩のことについて真剣に考えられた。良かった。楽しかった。よく知れた。
  • このワークショップをするまで、食塩は食べ過ぎると良くないとわかってたけど、改善点などを分かっていませんでした。これからこのことを活かしたいです。
  • 今まで食塩のとりすぎに注意した方がいいということをしらなかったので知れてよかったです。
  • 減塩についてとてもよく理解したとともに、家庭でも注意できることが存在するということが分かったので実践してみようと身にしみて感じた。
  • すごくスライドもみやすくて、せつめいも分かりやすくて、もっとげんえんについて、考えてみようと思った。
  • 先生の話し方が伝わりやすく親しみやすかった。来てよかったと思う!こんど学校で発表したい!
  • 食塩量などを見ないで今まで食べていたけど、この学習で減塩をどうやって取り組むか、減塩のバランスがわかりました。

意欲的な行動が見られた事例

参加者から後日提供いただいた自主学習の様子

ワークショップ実施後、参加者から、自宅にある間食に含まれる食塩相当量を調べてみたという連絡をいただきました。ワークショップでの学びを活かし、自主的に取り組んでいる様子がうかがえます。

ワークショップ終了後にはパンフレット「知っていますか?食塩のとりすぎ問題」を配布。自宅でもワークショップの内容を振り返ることができたよ!

参加者から後日提供いただいた自主学習の様子