私たちの栄養課題

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食塩の過剰摂取

日本人の最も重要な栄養課題である「食塩の過剰摂取」について考える。

みなさんは、普段の食生活の中で「食塩」について意識をしていますか?日本人の食事における最大の栄養課題は「食塩の過剰摂取」です。日本人の食塩摂取の状況について詳しく見てみましょう。

子ども編

子ども向け減塩普及啓発資料「知っていますか?食塩のとりすぎ問題」(ダウンロード版)

減塩普及啓発資料として、パンフレット「知っていますか?食塩のとりすぎ問題」を作成しました。
本パンフレットは、以下からダウンロード・印刷が可能です。
小学5・6年生を対象年齢として作成していますが、この学年に限らず、大人も含め、幅広く活用いただけます。
ぜひ、減塩教育にお役立てください。

<パンフレットのご使用に当たっての留意事項>
本パンフレットは、減塩の推進を目的に作成したものです。
本パンフレット及び掲載イラストについて、減塩の推進以外の目的による無断使用は禁じます


・A4単ページ版
・A3見開き版

※今後、ワークショップ等の進行に際し活用いただける資料も掲載予定です。

●ワークショップ開催概要
2023年11月に、福岡(11/4(土))、大阪(11/11(土))、東京(11/25(土))の3都市で、小学5・6年生を対象に「子ども向け減塩ワークショップ」を開催しました。
パンフレット「知っていますか?食塩のとりすぎ問題」は、本ワークショップで使用したものです。
以下のイメージ画像をクリックすると、各回のワークショップの広報用リーフレット(参考)をご覧いただけます。
「子ども向け減塩ワークショップ」開催レポートはこちら

  • 福岡

  • 大阪

  • 東京

入門編

雑誌「ターザン」にイニシアチブの記事が掲載されました。
あなたも無関係ではない「減塩」。取り組む4割になるか!やらない6割になるか!?

発展編

※以下のページは、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のウェブサイト情報を基に、同研究所の承諾の下、記載しています。

● そもそも食塩って…なあに?

食塩は、ナトリウム(Na)と塩素(Cl)の化合物で、塩化ナトリウム(NaCl)という物質です。

食塩相当量 (g)= ナトリウム (g)× 58.5/23 = ナトリウム (g)× 2.54

ナトリウムは、必須ミネラルのひとつで、塩化ナトリウム・重炭酸ナトリウム・リン酸ナトリウムとして体液中に存在しています。

ナトリウムは、体内(成人)に約100g存在し、その約50%は細胞の外側の体液(細胞外液)に、40%は骨に、残りの約10%は細胞の内側の体液(細胞内液)に存在しています。細胞外液とは、血液、リンパ液、胃液などの消化液などのことを指します。

ナトリウムは、人間にとって必須の栄養素の1つですが、日本人の通常の食事では、ナトリウムが不足することはほとんどありません。

● 日本人の食塩摂取量は多い⁉

日本人の食塩摂取量は1日当たり約10gであり、他国と比較し、大きく上回っています。その量は世界保健機関(WHO)が推奨している量(1日5g未満)の約2倍摂取している状況にあたります。

「食塩の過剰摂取」は高血圧の人、あるいは、高齢者の栄養課題だと捉えている人が多いかもしれません。しかし、日本では 男女とも20歳以上の全ての年齢階級で「健康日本21(第二次)」の目標には達していない状況 であり、全世代が取り組むべき課題となっています。

我が国の食塩摂取量の平均値(20歳以上、性・年齢階級別)

グラフをクリックすると拡大画像が表示

● なぜこんなに食塩を摂っているの?

日本人の食塩の摂取源の約7割は調味料です。その中でも、しょうゆやみそ、塩が多くの割合を占めています。

● 食塩摂取源は世代で異なる⁉

食塩の主な摂取源である調味料の摂取量は若い人よりも高齢の人で多い傾向にあります。さらに、摂取源となる食品には、世代間での違いがみられます。例えば、高齢の人は漬け物からの食塩の摂取量が多く、若い人はインスタントラーメンやカレールウなどの加工食品からの食塩の摂取量が多いようです。 そのため、加工食品の減塩が求められています。

● 食塩を摂りすぎるとどうなるの?

人口動態統計によると、非感染性疾患(NCDs)は日本人の死因の 50%以上を占めています。成人の NCDs と傷害による死亡に対する主要な決定因子(単一の因子)をみた研究では、食事因子としては食塩の過剰摂取が最も大きいことが示されています。

我が国の死因内訳

グラフをクリックすると拡大画像が表示

我が国における危険因子別の関連死亡者数(2007年)

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また、国際共同研究であるINTERSALT研究では、1日当たり10gの食塩摂取量だと、血圧は10年間でおよそ6mmHg上昇することが報告されています。DASH研究をはじめとする多くの欧米の介入試験でも、減塩による降圧効果は証明されています。

欧米の大規模臨床試験の結果は、有意の降圧を達成するには少なくとも6 g/日程度まで食塩摂取量を落とさなければならないことを示しました。世界の主要な高血圧治療ガイドラインの減塩目標レベルが全て6g/日未満を下回っているのは、この結果を根拠としているからです。

● 「食塩の過剰摂取」に対する取組組

ひと目でわかる食塩量

食品の栄養成分表示も減塩に一役買っている!

市販の加工食品中の食塩量は、食品表示基準で、ナトリウムではなく“食塩相当量”として表示することが決められました。これにより、消費者は一目見ただけで、その食品を食べた時に どれくらいの食塩を摂ることになるかを把握できるようになりました。

産学官等連携による減塩の取組

本イニシアチブでは、「食塩の過剰摂取」等の栄養課題や環境課題を重大な社会課題として捉え、産学官等の連携・協働により、誰もが自然に健康になれる食環境づくりを展開しています。新規参画事業者数は2021年度12事業者、2022年度16事業者(※2023年2月末現在)となっており、減塩の取組の輪が広がっています。

食品中の食塩の低減に向けた食品の再開発

食品企業の努力により、既製品に含まれる食塩量が減ってきています。2021年には、従来の食品と比べて、推定約1036トンの食塩を減らすことができました。

(出典)特定非営利活動法人日本高血圧学会ウェブサイト掲載資料を一部改変
※グラフ内数値は日本高血圧学会が認定した食品のみを対象に算出

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参考情報

こちらのページで紹介したイラストやグラフ、情報の一部は国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所のWEBサイトにおいて詳しく見ることができます。

国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 健康日本21(第二次)分析評価事業ウェブサイト「栄養素に関する情報」
監修:瀧本秀美(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 栄養疫学・食育研究部長)

参考資料